カトリック逗子教会

【かんじんなことは、目には見えない】
〈星の王子さま〉より

主任司祭 水上健次


逗子教会に着任してから、子供たちに話をする機会が増えています。キリスト教の教えはシンプルではありますが、子供にどう伝えるのが良いのか、試行錯誤の連続です。いつも決まってこう切り出します。「君たちは、神さまを見たことがありますか?」 “ある”と応える子や、分からない顔をする子、色々な反応がありますね。そこで、「わたしは見たことがありません」。と、伝えます。「でも、神様がいることは信じているのですよ。と続けます。見ないのに信じることって、考えてみればとても不思議なことだとは思いませんか。神様がいるなと信じることが出来るのは、人知れず良い行いをしている人の中に、また、小さく弱い人の中に、神様を感じる時が何度もあるからです。ああ、今ここに確かに神様がいるなど、神様に出会っているのだなと感じることがあるからです。
先日、病者訪問先で病者の塗油を授けていたところ、「神父様、心臓の調子はどうですか」と、尋ねられました。私が6月の末に不整脈で入院していたことをお聞きになったのでしょう。ご自分の容態のことよりも、わたしの健康を気遣って頂いたことに、涙が出るほど嬉しかったのです。この方の中に神さまがいるのだなと感じました。
互いに愛し合うこと。言葉にすれば簡単ですが、実践するのが難しい。だからわたしたちは神に信頼し、主の教えに従って福音を伝えていくことが求められているのです。目には見えないけれども、いつもわたしたちとともにいてくださる主イエス・キリストに感謝をしながら。

(教会報誌「潮路」 第396号 2023年7月15日発行 巻頭言より)